himajinfurafura

ヨーヨーに音楽に映画にゲーム。ふらふら楽しく生きていたい。それだけ。

バトルグラウンドワーカーズ

消費することで消費されている様な気分にもなる昨今。

マンガも結構読み尽きた感があって、なかなか面白いと感じるものが少なくなってきてたんですが、これはおもしろい。

 舞台は現代によく似ているものの、「亞害体」と呼ばれる人間を襲う存在から「RIZE」と呼ばれる人が遠隔操作ながら命が直結したロボットで戦っている点だけ異なる世界。

 これだけ書くと「あーよくあるよね。」って感じなんですが、この話の着眼点はロボットアクションではなく、それに搭乗(作中では接続)するパイロットの背景や人間性、命の重さに当てられているのが良い。

 なお、世界観はエヴァンゲリオンのイメージが比較的近いけれど、この亞害体が出現する場所が特定の場所に集約することができていることで、「戦いの世界」と「戦いを知らない世界」が共存しているのも現実の側面を感じさせる。

 なによりこのRIZEが遠隔操作のために主人公たちはこの二つの世界を同時に生きる描写が親近感も感じさせる。

 例えば主人公は30歳で失業して、両親を幼いころに亡くし、育ての祖父母も亡くして今まで求めていた「幸せ」の代わりとなる「生きがい」を求める中、RIZEパイロットの採用通知が送られる。

 ここでRIZEの説明を少ししておこう。まず、遠隔操作についてだが、コントロールパイロットの神経と直結させることで直感的な操作ができるという設定になっている。逆にそれが影響して、この接続が切れていない状態でRIZEが破壊されるとパイロットの命に直結し、強制的に接続を遮断するのも脳への負荷から生涯で5回が限度とされている。またRIZEの戦力に関してだが、強くは描かれていない。恐らく亞害体の攻撃に複数回は耐えられない。「機械の歩兵」といったイメージだ。

 そんなRIZEに主人公は志願する。知らない人達の日常を守る「生きがい」を求めて。彼が生きてきた中で培ってきた信条が彼自身と仲間を救い、栄光とはまた違う輝きを見せていく。

 戦場を描いた作品は往々にして人がやたらと亡くなる描写がが多いけれど、この作品ではそんなこともなく、絵のインパクトも薄めです。それにも関わらず、こんなに魅せられるのは主人公の言葉と生き方でしょう。

 「努力は裏切る」なんて、言い切った形はなかなか見ないけど正しくその通りだし、裏切られるその先の心意気に魅せられました。

  現実という「戦場」に生きる人たちへ強く共感させるメッセージがつまったとても良い作品に巡り合えました。

 働き疲れてしまって先が見えないそんな方に読んでほしいシリーズですね。