himajinfurafura

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仮面ライダーアギト

ちょっと前にはなるけど仮面ライダーアギトを見切ったので書いておこうかと・・

見終わった熱がやや冷めてしまっているところだけれど、今でも「いいシナリオだった」と思えるような作品でした。

 世界は「未確認生命体」による事件が収束して2年。海底から巨大なオーパーツが見つかると共に奇妙な殺人事件が多発するようになる。警察機構は以前の「未確認生命体」との対峙の経験を元にそれに打ち勝つために戦闘用特殊強化装備「G-3」を開発していた。「G-3」に身を包むのは遭難フェリー事件「あかつき号事件」の英雄と謳われた刑事、「氷川誠」だった。氷川は捜査の末、殺人を引き起こす怪物を見つけ、「G-3」で挑むのだったが、歯が立たない。怪物は「未確認生命体」を超える力を持つ「アンノウン」と呼ばれ、人を襲い続ける。そこに「アギト」とアンノウンから呼ばれたライダーが現れ、の前に立ちはだかるのだった。

 この作品の最大の特徴は3人のライダーそれぞれにスポットが当てられて並行してストーリーが進んでいくところでしょう。

前に書いた「龍騎」の前身にあたる作品と考えるとここから平成ライダーの基盤が作られていったともいえるのではないでしょうか。

 ライダーをそれぞれ見ていきたいと思います。

 中心となるライダー「アギト」は記憶喪失の青年、「津上翔一」。ある大学教授の家で居候をしながら家庭菜園をするような自由奔放なキャラクターです。ちなみに大学生ではありません。設定がどうなっているのかは定かではありませんが、アンノウンの出現に反応してかけつける性質(?)があるようで、日々の団欒の中、突然どこかに走り去っていくのがお約束です。この作品における強さの象徴と恐らく言える「無我の境地」を描いた主人公として無邪気さ無欲さが直感的な印象です。戦闘時の型は太極拳の様なゆったりした動きをしており、これも「力の入らない強さ」を表現されているのかも。

 先述したのに対して「力が入りすぎる」のが「G-3」の装着者「氷川誠」。警察機構の一員である彼は組織に翻弄されながらも彼自身の信じる「正義」を貫こうとします。唯一「アギト」ではないライダーとして人の未来を信じて戦い続けました。こういうバカ真面目なキャラクターは個人的に好きです。

 この作品における悲劇の象徴、「ギルス」となるのが「葦原涼」です。彼はこの作品の中で最も悲劇的なキャラクターです。きっかけは定かではありませんが、彼は突如として体の変異が起こることに気づき、その事実に葛藤します。期待されていた水泳部員だった彼はその秘密をコーチ、恋人に打ち明けるものの受け入れてはもらえず、自分を受け入れてくれた人間にはことごとく先立たれます。この変異、つまり変身も完全なものではなく、序盤は1回変身するたびに激しい後遺症に侵されており、序盤はほとんど療養していたような印象です。彼は大切な人間に2回先立たれますが、自身も2回作中で死にます。まぁ、生き返るんですが、生き返っても最後の最後までやるせないですよね・・こう書くとかなり弱いライダーなのかなとも思われるかもしれませんが、一度アギトを圧倒したこともあるんですよ?

 以上に書いたのが「仮面ライダーアギト」で主な軸となる3人のライダーとなりますが、私個人としてはこの作品にもう一人ライダーがいたことは追記したい。正式な名称はないようですが、通称「アナザーアギト」こと「木野薫」です。彼は作中の重要な事故「あかつき号事件」の当事者の一人で過去に亡くした弟を救えなかった自身を責め続け、天才的外科医として己一人の力のみですべての人を救うことにこだわります。基本的には「アギト」や「ギルス」を敵として認識して襲いますが、「津上翔一」、「葦原涼」と触れ合うことで最後は命がけで自棄的になって敵の傷を負った「アギト」を救います。

 個人的には全体的にキャラクターの設定がやや粗めなのは少し引っかかるところではありましたが、ストーリー全体としては人類の進化とその進化への応用が人類にできるのかといったテーマも盛り込まれており、興味深い作品になっていたと思います。構成としては「龍騎」よりはとっつきやすいかも。これは子供とみても良いかもしれないですね。